看護どっと合言葉  > 看護師〜ひと〜  > No.8 北原脳神経外科病院 設楽 明子 さん
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<看護師〜ひと〜>  インタビュー&お仕事紹介
北原脳神経外科病院

看護師/呼吸療法認定士
設楽 明子 さん
訪問日
平成20年1月29日(火)

設楽さんの管理ブログ
『プロフェッショナルな脳神経外科の看護師を目指す』

設楽さんは、平成19年に紹介させていただきましたが、アドバンストナース制度という特殊な院内認定制度を開始されるとのことで、 今回、24時間密着取材をさせていただきました。前回の記事は、こちら。
【Advanced Nurse とは?】
アドバンストナース、聞きなれない言葉です。 それもそのはず、その制度は北原脳神経外科が独自で行っているもので決まりごとは、 「365日24時間On Call」ということだけで、それ以外は、「自分」で計画を立て「自分のやりたい看護を展開する・できる」制度なのだ。 設楽さんは、北原脳神経外科病院で3人目のアドバンストナース、先輩に相談に乗ってもらう事はあるが先輩からの指示は無い。 自分の道を自分で創造して進んでいく先進的な看護師、それがアドバンストナースである。 理事長の高い理念が形として見える一つの北原脳神経外科病院の象徴だと思います。 365日24時間On Callと言っても、全く休みがないわけではありません。 休みのマネジメントも自分でするのです。やる気のある人にとっては、まさしく夢の制度だと思います。
というわけで、24時間金魚の糞のように追いかけてみました。
7:30〜
7:30に出勤し設楽さんの一日は始まる。 北原脳神経外科病院は、ほぼ毎日医師のカンファレンスがあり、取材に伺った日は、新患カンファの日だった。 患者さんの治療方法は決してひとつではない。しかし、治療方針はひとつである必要がある。 参加者は、医師や看護師のほか、薬剤師、栄養士、放射線技師、理学療法士、事務、ソーシャルワーカーを実に多彩な顔ぶれを見せる。 これこそチーム医療の源流ですね。朝早くからのレベルの高い質疑応答。 否が応でも職員の意識は高まり、情報は共有される。そしてこの会議室。上品ですよね。
8:30〜
8:30からは、チーム回診が始まる。先ほど参加していた職種が医師とともに患者さんを回る。 スタッフの数がものすごいことになっていますが(この日は19名いました!)それぞれが、 専門の立場で発言して患者さんを交えて治療方針を決定していました。 設楽さんは、アドバンストナースとして看護師の中心的な役割を担います。
こちらは、ICUでのひとコマです。アドバンストナースは、受け持ち制で決まった患者さんはいますが決まった病棟はありません。 自分でチェックして必要なケアを行ったり、場合によってはメンバーにお願いしたり、退院調整などに関わったりします。

アドバンストナースの決まりごとは、
・24時間365日(休日は、自分で決める)
・入院から退院まで責任を持つ
これ以外は、自分で決めます。

自分の好きなようにできるというのは、楽なように見えてものすごく自分を成長させてくれるのでしょう。 生き生き仕事されています。
アドバンストナース設楽さんの決め事としては『入院(外来・救急)⇒手術⇒病棟⇒退院まで』の看護の責任を全て担うことです。 自分の患者さんが関わるところには一緒に携わりたい気持ちがありこのように決めたとのことでした。 ですので、人によってはこの決め事は異なります。
12:00〜
〜楽しいひと時〜

事務の方との団欒しております。実は、設楽さんは本日の外来当直、そして事務の方は外来の遅番でした。 「今日よろしくお願いします」と結局、休憩時間も仕事の話に・・・。 でも明るく楽しく、本当にいい雰囲気です。私も食事をご馳走になりましたがおいしかったです。
【こだわりのエンゼルケア】

設楽さんには、こだわりがある。それは、エンゼルケア。 プライベートなことではあるが本人の同意を得て記事にさせていただきますと、 設楽さんはお父さんを交通事故で亡くしているそうです。自分はその時、すぐに駆けつけることができなかった。 そして、自分がお父さんに会ったとき、救命処置が施されたままの姿であり、愕然としたそうです。 それで、お見送りのときは、生前と同じ姿で帰してあげたいと強く思うようになり、エンゼルケアに力を入れて勉強しているそうです。 きれいに整えられた化粧道具、設楽さんの強くやさしい気持ちが伝わってきますね。 設楽さんには、本当に学ぶべきところが多いです。
患者さんからの厚い信頼

受け持ち看護師として患者さんと家族に関わります。 脳神経外科の多くの患者さんは突然の発症であり、また重症化することも少なくありません。 最初はどうしていいかわからない家族も、徐々に受け入れていきます。 その過程で信頼を得るには、どうしても時間が必要ですが、その時間を短縮するためにも、アドバンストナース制度は役に立っています。 本当は、家族はつらい。でも、それをわかってあげること、そして真摯に対応することで受け入れることができるのでしょうね。
17:00〜
さて、外来当直の始まりです。

まず、病院全体の空きベットを確認し、重症は何人、軽症なら何人と北原脳神経外科病院の収容可能な患者さんを頭に入れます。 その後、救急外来の物品チェック、これが大事なのですよね。手を抜かず、チェックされていました。 と思ったら早くも近医からの収容要請コール、救急車と受け入れ状況を整え、さあ、忙しい夜の始まりです。
本日の当直医であり、設楽さんの指導医師である菅原副院長とのツーショット

これからの看護師像を創造することを看護科だけではなく、医局の理解と協力がありアドバンストナースの育成に携わって頂いています。 今回は副院長の菅原医師と一緒に患者を入院から退院までを看ています。 確かに駆け出しのころの新人には、先輩看護師が必要ですが、 専門化してくるとどうしても医師の医療の知識が必要になってきます。 そんな時、責任を持って面倒を見てくれる医師がいるというのはすばらしいことです。 日本の医療制度の欠如している部分を垣間見た気がしました。 今回一緒に勤務をしていますが医師の多忙さを痛感しました。しかし、看護師の教育には非常に理解があり本当に頼りしているとのことでした。
諸橋 賢さん

今回、他の病院から研修に来ていた看護師さんで、北原脳神経外科病院を多くのスタッフが目的意識をもって働いているのが特に印象的だったと話す。 モチベーションの高い北原イズムを自身の所属する施設に持ち帰り、教育体制を中心に見直して行きたいとのことだった。 きっと実りのある研修になったことでしょう。
そうこうしているうちに先ほど収容要請があった患者さんが運ばれてきました。

症状からくも膜下出血が疑われCT室へ。
その画像に注目する医師と設楽さん。

救急外来からCT室までのチームワークは抜群だ。あっという間に医師が集まりスムースに移動。 そこで診断して今後の治療方針が決まっていく。 複数の医師が検討した結果、緊急手術ではなく一晩待機して明日、朝一番での手術が決定。
と、落ち着くまもなく次の救急車、今度は交通外傷だ。 頭をぶつけたとのことだったが幸い意識はしっかりしている。 設楽さんは、不安を取り除きつつ、症状を聞き現在の状態を評価していく。 てきぱきと仕事をこなす後姿は、見ていて気持ちがいい。
夜は、まだまだ。
救急車以外にも、患者さんは来る。係りつけの患者さん、そうでない患者さん。 合間を見つけて病棟に申し送りなどなど、独楽鼠のように働く。 忙しいが、確認事項は、指差しでしっかり行い事故の起こらないよう配慮がある。 設楽さん個人の能力もあると思いますが、病院の教育システムのレベルの高さも伺えますね。
夜は更けていくが・・・
22時がまわり、電子カルテで溜まっていた記録を記載。 そうこうしているうちにまた救急隊からの収容要請コール、なかなか落ち着かない。

患者さんは、係りつけの患者さんだった。 症状から脳梗塞が疑われたがMRI等の検査の結果、幸い入院が必要な状態ではなかったようで元気にお帰りになりました。 「おかしい」と思ったら係りつけの病院が見てくれるという安心感が、病院の信頼を生むのでしょうね。 そして、対応してくれる看護師ほかスタッフが笑顔だと、患者さんもうれしいですよね。 検査が終わって安心した患者さんの笑顔が印象的でした。
誰からか指示をされて仕事をするわけではないアドバンストナース、貪欲に経験して知識を蓄積していかなければなりません。 しかし、逆に言うと勉強する機会が無限に提供されるという立場でもあります。 並大抵の意識では、到底つらいだけでしょうが、やる気のある看護にとって北原脳神経外科病院は天国のような場所だと思います。 当然、知識も豊富で話を聞いているだけでかなり勉強になりました。 北原脳神経外科のアドバンストナースは、近い将来日本の看護師の目標となるでしょう。
真夜中に明日の手術の準備を・・・
患者さんもひと段落して救急外来に静寂が戻ると、設楽さんは、明日の手術の準備に手術室に向かいました。 先ほど、搬送されてきたくも膜下出血の患者さんの準備です。 設楽さんは、アドバンストナースとして患者さんのために自分ができることを何でもするかのような印象を受けます。 「入院から退院まで」を実践してますね。 救急も病棟もICUも手術室もできる看護師は、そう多くはいないでしょう。 ましてや設楽さんほど知識をもって積極的に仕事を打ち込んでいる人は貴重ですよね。まさに病院の至宝だと思います。 設楽さんに続くアドバンストナースが生まれてくるとすごい病院になるでしょうね。
仮眠をとり、一夜が明けるとすぐに朝のカンファレンス、今回は、術前術後カンファで医師やコメディカルが事例を出して検討する。 この積み重ねが病院の力になるんですよね。 設楽さんは、このまま昨夜緊急入院になったくも膜下出血の患者さんの手術のため、手術室へと消えていきました。 それにしてもこの笑顔。本当に元気です。さすがに毎日このような生活を送っているのではなく、 休みは自分でマネジメントし、きちんとオフの時間もとることが可能です。 すっきりリフレッシュすることが秘訣で病院の理解にも十分あるそうです。 モチベーションが維持できていると仕事って楽しいんですよね。 お体に気をつけて頑張ってください。
≪設楽 明子さんにインタビュー≫
インタビューは、二回目なので今回は、個人的なことを聞いてみました。
Q;アドバンストナースがストレスになることは?
A;確かにストレスとなることもありますが、どうしても疲れたときには休む必要もあると思いますが、 今のところやりがいのほうが強く、頑張れています。

Q;「やってられない」と思うことはありますか?
A;当院は、人間関係がとてもいいので大変でも楽しく仕事ができています。 みなさんに助けられてるのでやってられないとは思いませんね。 アロマに詳しいスタッフがいていろいろ教えてもらったりしているのもいいのかも!? あとは、ボクシングジムにも通っています。 月に2回くらいしかいけませんが、サンドバックをたたくのが好きです。

Q;好きな本、音楽、化粧品は?
A;小説や自己啓発本を読みます。落ち込んだときの処方箋ですね。
  音楽は、邦楽洋楽を問わずウキウキするようなものを聞きますね。
  化粧品は、「est」です。

Q;最近、はまっていることは?
A;食の改善です(^^) 自炊をしようと思っています。料理は好きなので大体できますが、 から揚げや煮物が得意料理ですね。夜勤のときは、デリバリーを頼んでしまいますがね・・・。

Q;モチベーションを維持する秘訣は?
A;これからの看護師像を考えていく上で現在の「もがき」が絶対に役に立つと思います。 将来のことを考えると行動せずにはいられなくなり、その結果、原動力になっていますね。毎日が楽しいです。

ありがとうございました。

【三竜会(みんな辰(竜)年生まれ!】
(三流じゃないよ)

看護師という立場は同じでも、それぞれの道を歩んできた3人。悩みも人それぞれだし、目的もそれぞれだった。 でも、3人ともきちんと自分の目標があり、現状を打開しようともがいている共通点がありました。 これから、進んでいく道もまた違うでしょう。 でも、1時間近く話して、それぞれが「自分ももっと頑張ろう」と思ったはずです。 次に顔を合わせるのはいつになるかわかりません。でも、そのときを楽しみに頑張っていきましょう。
負けませんよ!(右端は、記者である私です)
北原脳神経外科病院
所在地 〒192-0045  東京都八王子市大和田町1-7-23
TLE 042-645-1110
 
病床数

 医療法承認病床数  110床( ICU8床 )

 
標榜診療科

 脳神経外科、精神科、神経内科、、形成外科、消化器科、循環器科、計 6科
【編集後記】
理事長に会って考え方の違いにカルチャーショックを受けたという設楽看護師、 そのショックをばねに様々な体験を自分の経験とし、その経験に知識の裏づけをして確実に成長しているということを感じました。 もともと感受性が豊かで簡単に言えば、医療従事者としての才能があったのだとは思います。 ただ、設楽さんが決して特別だとは思いません。 日本の多くの病院が看護師の芽を摘んでいるのではないかと感じます。 設楽さんを参考に、環境を与えれば看護師は生き生き仕事をするんだということを知っていただき、 そのまままねをする必要はありませんが北原脳神経外科病院のアドバンストナース制度を検討してみませんか? あおやぎ
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