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<看護師〜ひと〜>  インタビュー&お仕事紹介
名古屋医療センター
禁煙外来専任看護師
谷口 千枝 さん
(日本赤十字愛知短期大学 平成9年卒)

訪問日
平成19年8月31日(金)
禁煙外来のホームページ
名古屋医療センターの禁煙外来は、火曜日と金曜日の週に2回行われている。 担当は、基本的に2名の医師と3名の看護師、1名のクラークで構成される。 谷口さんは、その中心的役割をになっており、禁煙外来の無い日であっても、PHSで患者さんの不安や質問に答え、 また水曜日は、厚生労働省の禁煙支援の研究班の一員として研究日を利用して日常の診療に役立てる研究を行っている。 また、愛知がんセンターにも出張し禁煙外来をお手伝いしている。 まさに、禁煙支援のエキスパートでその才能をいかんなく発揮する場がここにはある。 一見恵まれているようにも見えるが、当初はこうではなかった。 呼吸器科部長や、副院長、禁煙推進グループのメンバーなど多くの方に支えられて、やっとここまできたとのこと。 ここまでの道のりは、決して楽では無かったようですが、プライドをもって業務にあたっている様子を垣間見ることが出来た。 現在は、入院患者さんに対する禁煙支援の方法を考えたり、外来患者さんがもっと足を運んでくれるようにするにはどうすればいいのか、日々考えている。禁煙外来の更なる進化に余念が無い。
谷口さんは、カウンセリングのプロであり、学校で本格的に勉強している。 禁煙を始めることでもともと抑うつ傾向のある人は、禁煙により悪化することもあるという。 そこで、全症例にベックの抑うつ指標を用いて抑うつ傾向が出現していないかどうかをチェックする。 患者さんの話をとにかくよく聞き、「何かあったらいつでも電話ください」と何度も伝える。 「寄り添っている」ということを伝えることが大事だという。 谷口さんに会いたくて禁煙外来に来る患者さんも、きっといるのだろう。

ベックの抑うつ指標」はこちら。
インターネットでチェックできるので便利です。
≪谷口さんにインタビュー≫
Q;クリニカルパスと利用するに当たり苦労した点や効果を教えてください。
A;クリニカルパスを利用するようになって薬局との連携が取れるようになり、紹介が増えた。ただし、パスのチェックによってカウンセリングがおろそかになっているというのも否めない。また、薬局によっては、有効に使えていないのが現状であり、今後の改善点です。

Q;院内における禁煙外来の評価はどうでしょうか? どのように見られていますか?
A;2006年4月に「ニコチン依存症」が保険診療となってからは副院長や看護部、医局、学校関係者で構成される禁煙推進グループが禁煙外来を積極的にサポートしてくれるようになり、学会や勉強会に参加させてくれるようになった。ただ、病棟では忙しい業務もあってかなかなか禁煙支援まで手が回っていないのが現状であり、今後は、もっと病棟の看護師にも興味を持ってもらいたい。

Q;保険の使えない入院患者さんへの禁煙支援はどのようにしていますか?
A;禁煙外来に呼んで自費による禁煙治療を行うか、退院後に保険診療を行うかを相談して決めてもらっています。

Q;禁煙外来で苦労する点
A;:病棟看護の充実化のために、外来看護師の人数はギリギリの状態。私は恵まれているほうです。外来スタッフのサポートがあって、ここまでこれています。・・・・・・。

Q;禁煙外来で嬉しかったことがあればご紹介ください。
A;禁煙外来に来た患者さんが、手術を受けたあと、タバコを吸いたくなってふらふらと院外へ出かけようとした。そのとき、タバコの害の掲示板を患者さんが見て「これは、絶対に谷口さんが作ったものだ。やっぱりタバコは止めよう」と踏みとどまってくれた。また、それを嬉しそうに報告してくれたことが嬉しかった。

Q;禁煙外来を行っている全国の看護師へのメッセージ
A; 回りからの理解はなかなか得られないかもしれません。しかし、禁煙支援は患者さんの行動の変容をお手伝いする仕事であり、やりがいのある仕事です。充実感の得られる仕事です。一緒に頑張りましょう。

Q;看護師としての目標は?
A; 大学に入って「心理学」を学んでカウンセリングの技術や知識を向上させたい。禁煙に限らず患者さんの心の声を聴きたいと思っています。

Q;10年後の自分は?
A;静かな山の中でボーっとしていたい(今は頑張るから^^)
患者さんが、欠かさずつけていた禁煙カレンダーに感動する谷口看護師。禁煙支援者の至福のひととき。 患者さん用のクリニカルパスに励ましの言葉や注意点を書き込む。 正面玄関にある大きな「タバコ情報コーナー」禁煙支援は、まず「関心を持ってもらうこと」から始まる。内容も同じではなく、不定期に更新しているという念の入れよう。
患者さんに、お渡しするファイル一式。
医療従事者用のクリニカルパスと、患者さんようのクリニカルパス。 患者さん用は、イラスト付で読みやすく、気になる値段も書いてある。 クリニカルパスの注意点として、チェックだけで終わるのは非常に便利。 でも、チェック項目以外に見逃している部分がないかどうかを意識する必要があると。 そのほかは、禁煙を継続させるための小冊子や禁煙外来と街の薬局を結ぶクリニカルパスの使用方法など。

クリニカルパスについては、こちらの「禁煙学」 で谷口さんが執筆されています。是非参考にしてください。
禁煙啓発の掲示は、正面玄関だけではない。 もう一箇所にこれだけのスペースを利用して「なぜ、タバコが悪いのか」を紹介している。 ここは、エレベーターホールであり、嫌でも目に入る。 また、この掲示物の面白いところは「タバコ」という文字は、一切入っておらず全て質問形式。 全部読めば、ある「気づき」がきっとある。
また、ここ以外にもいたるところに「敷地内禁煙」であることを伝えるポスターと禁煙外来の紹介文、禁煙を勧めるルーフレットであふれている。 この力の入れようはすごい。
お邪魔した時におられた担当者
右から、
谷口千枝看護師
杉下美保子医師
長谷川真由美看護師
患者さんがおいていった禁煙による口寂しさを解消するお菓子類。皆さん、苦労してます。 病棟などでも積極的に禁煙支援をしていただくためのポケットフローシート。これをもっと活用して禁煙を誘導して欲しいと谷口看護師。 ニコチンの分解産物である尿中コチニンを検査してニコチン濃度を測定、禁煙支援補助剤の量を決める目安にする。
禁煙外来のプログラムを終了し、禁煙に成功したことを認定する卒「煙」式 こちらが、「認定証」
医師と看護師の署名付
患者さんの満面の笑みが、禁煙外来の必要性を物語っています。
名古屋医療センター】  所在地 〒460-0001 名古屋市中区三の丸4丁目1番1号
                               Tel 052-951-1111  Fax 052-951-0664
名古屋城の隣に位置する名古屋医療センター
敷地内禁煙+タバコ自動販売機まで約800mと
禁煙を決意するのに十分なロケーション。
緑に囲まれたきれいな病院でした。
病院が敷地に禁煙であることを記す立て看板がいたる
ところに配置されている。しかし、それでも後を絶たない
敷地内での喫煙行為。まだまだ頑張る余地がありそう。
 
病床数
 医療法承認病床数 804床(一般 754床、精神 50床)
 
標榜診療科
 内科、心療内科、精神科、神経内科、呼吸器科、消化器科、循環器科、アレルギ−科、リウマチ科、小児科、外科、整形外科、形成外科、
 脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管外科、小児外科、皮膚科、泌尿器科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、
 リハビリテ−ション科、放射線科、歯科、小児歯科、歯科口腔外科、麻酔科  計 30科
【編集後記】
谷口さんは、もともと喫煙者で禁煙外来に配置された時も喫煙者だったそうです。 「絶対に止めない」と思っていたそうですが、徐々に喫煙に対して疑問が出て自然とやめ、 その後、呼吸器内科部長さんやその他大勢の方に助けてもらって禁煙外来を維持しているそうで、 モチベーションを高く保つ秘訣は、「お世話になった人への恩返し」だそうです。 谷口さんは、禁煙外来を積極的に行っている日本でも数少ない看護師です。 原動力が、「患者さんのため」そして「お世話になった人のため」というのは、 「タバコを吸ってしまいました」という患者さんの告白にも優しくうなづく彼女らしい理由だと感じました。 禁煙支援で学べるカウンセリングの技術というのは多岐に渡るでしょう。 この経験を活かして、今後も頑張って欲しいと思います。あおやぎ
次回は、大阪府済生会千里病院 能島 由美さんです。
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