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<学会・イベント訪問記>

第二回 日本禁煙学会
訪問日 2007年8月26日
都合により、第一日目は参加できませんでしたので、第二回日本禁煙学会の二日目の様子のみ、ご紹介いたします。参加者は300名を超え、会場は満員、立ち見も出ました。病院その他の公共施設は建物内禁煙から敷地内禁煙へと確実に変貌をとげつつあります。そんななか取り残された喫煙者を少しでも、楽に、そして少しでも多くの方に禁煙支援を行おうと全国の禁煙支援者が東京都 築地に集合しました。
【会場風景】
「精神疾患を有する患者への禁煙治療」
公徳会 トータルヘルスクリニック  川合 厚子氏

「信頼関係」が何よりも大切というのが信条の川合医師、精神障害者の禁煙支援の実際を疾患別にわかりやすく説明していただけました。なかでも、「精神疾患の患者さんは、少ない生活費で食費を削ってタバコを購入している。見過ごせない問題」という指摘があり、患者さんがタバコ代を捻出している姿が目に浮かびました。また、精神科病院でも敷地内禁煙は増えてきているとのこと。川合医師の報告で勇気をもらった参加者もきっと多いことでしょう。
「脳ドック・肺ドック希望者のタバコ使用状況と禁煙率」
京都府立医大 繁田 正子氏

繁田医師からは、ある意味ショッキングな報告があった。それは、真面目にCT検診を受けていただくことで逆に「今は癌になってない」=「タバコを吸っても大丈夫」とゆがんだ認知を生む温床になっているのではないかということであった。検診受診者は、「検診を受けること」が目的となっており、健康を維持・増進することが必ずしも目的になっていないようだ。このゆがんだ認知を取り除き、今後は病気になる前にタバコを止めなければいけないということを重点的に話す必要がありそうだ。繁田医師ほどのベテランでも手を焼くニコチン依存症、簡単ではない。
「野球アニメ主題歌に見る目標達成までの意識の違い」
-禁煙支援における有用性-
中国電力(株)中電病院  平賀 裕之氏

野球マンガとえば「スポコン」巨人の星だった頃から時代は過ぎ、「根性」から、サポートを受けながら「夢」を目指すメジャーという漫画に時間を掛けて移り変わった。 そのことは、禁煙にも通ずるものであると平賀医師は報告し、喫煙者を無関心期から関心期へステージをあげるのに役立つと会場で「歌」を歌って紹介してくださった。
まぶたを閉じてごらん、未来の君、きっと待っているはず」
今度から、外来で診察時に歌うそうです(^^)
~シンポジウム~
すべての喫煙者に禁煙を! すべての受動喫煙者に啓発を!
薗はじめクリニック  薗はじめ氏

タバコを吸わないピンクの肺が好きであることから、常にピンクの衣装を身にまとい、夫婦で神出鬼没、いたるところで禁煙支援を行うピンク先生こと、薗はじめ氏。 分煙では、本当に喫煙者を助けることにはならない。 一見、「北風」に見える敷地内禁煙だが本当は、「太陽」の意味合いを持つことを熱心に話してくださいました。 学会終了後も、認定講習会の講師を務めてくださり、日本はおろか、世界中の喫煙に関わる諸問題を教えて下りました。
~シンポジウム~
すべての喫煙者に禁煙を! すべての受動喫煙者に啓発を!
医師・看護師連携による健診時禁煙支援の有効性
京都第一赤十字病院  山門 桂 氏

看護職の禁煙支援参加率は決して高くは無いだろう。 しかし、理解ある医師と共に積極的に介入することは、禁煙率を上げることに有効である。 京都第一日赤病院は、看護師の禁支援は、すでにルーチンワークになっているこのこと。 健診における医師-看護職連携は効果があるという結論を示した。 今後は、他の看護師が関わる職域でも同様の効果が出るよう見習いたい。
<大会プログラムPDFはこちら>
<大会宣言>  禁煙学会HPより抜粋
喫煙は呼吸器、循環器、消化器、歯科口腔のみならず皮膚、泌尿生殖器などあらゆる臓器の疾患の原因であり、しかも一度喫煙習慣を持つと容易に禁煙できない。
喫煙それ自体がニコチン依存症という病気である。

がんを中心とした喫煙に起因する致命的な疾患の多くは禁煙しても改善することはない。したがってすべての喫煙者に対し、検診等の機会を通じて、罹患前に禁煙を呼びかけることが喫煙関連疾患の予防のために肝要である。

一方、公共施設を中心とした禁煙区域の拡大は、非喫煙者の受動喫煙防止のためのみならず、喫煙者の喫煙量減少に役立ち、喫煙の害を認識させ、禁煙への強力な動機付けの一つにもなる。地球上のすべての場所が完全禁煙となるように努めなければならない。

更に、無煙世代を育てる教育では、一人の喫煙は上下の世代にも影響を及ぼすことを認識させ、こどもたちが他の世代にも積極的に禁煙を働きかける意識を持たせることが必要である。

NPO法人日本禁煙学会では、タバコの無い世界実現のために、学会として政府や報道機関に、タバコ 規制枠組条約の実現化,とりわけ受動喫煙防止ガイドラインの早急な履行を目標として、継続的に働きかけると共に、会員の一人一人が、喫煙者に対し禁煙を呼びかけ、それぞれの職場や居住地で完全禁煙区域の拡大を図り、高い意識の無煙世代を育てる活動を積極的に行なうことを宣言する。 平成19年8月26日

東京都中央区築地5-1-1
国立がんセンター 管理棟 1階 特別会議室 に於いて

NPO法人 日本禁煙学会
理事長 作田 学
第2回 日本禁煙学会学術総会
会長  金子 昌弘
【学会風景】
熱心な討論・意見交換がされていました。みな、時間が足りないと感じていたことでしょう。






【編集後記】


そびえ立つ国立がんセンター中央病院と距離にして500mのところにある築地本願寺。
恐らく日本いや世界のトップクラスの医療が日常的に行われてるだろう国立がんセンターにお邪魔してきました。建築物としても立派でフジテレビ 白い巨塔を思い出してしましました。日本の医療は世界と比べても決して見劣りしないレベルでしょうし、国民皆保険に至っては、世界で類を見ない極めて優秀な制度だと思います。しかし、こと「喫煙問題」に関しては、日本は遅れているといわざるを得ない。今日の学会に参加してそう感じました。ただ、多くの皆さんがタバコの病気や受動喫煙の害を無くそうと賢明に努力しておられます。タバコがない日が来るのもそう遠くはないでしょう。来年は、広島だそうです。また行って見たいと思います。学会終了後に禁煙指導の認定専門指導者の試験を受けてきました。果たして結果はいかに!?
あおやぎ