carenet




「あおPの言いたい放題」

【マネジメント領域】    株式会社ひとりガウン    代表取締役    青柳智和
青柳智和 看護師/呼吸療法認定士
「ひとりで着用可能な手術衣」の販売を目的に株式会社ひとりガウンを起業するも断念、 現在、セミナーやサイト開発を中心に事業展開。

看護師としての視点とビジネスマンとしての視点は、かなり関連があるのではないかと感じます。 看護師として起業して感じたこと、学んだことを勝手に綴ります。 まさしく「言いたい放題」なのであまり細かなことは気にしないでください(^^)
Vol.2  2009年9月 「見られている自分とそうでない自分(ホーソン効果)」
あなたは、誰かに見られているときと、そうでない時、全く同じ行動をとるだろうか?
ちなみに私は、絶対に同じではない(笑)
このことを「ホーソン効果」というらしい。
実はこれ、医療マネジメントと大きく関係してくる。マネジメントとは、「管理」のことである。
誰かが監視している時の医療と誰も見ていない時の医療、やっていることに違いがあるようでは「管理」できているとは言えない。
とはいっても人間は、弱い動物だ。すぐに自分に負けてしまう。
「誰も見てないからいいや」と思ってしまう。
おそらく「これくらいいや」という認識の甘さが「ホーソン効果」を生み出していると思う。
その認識は、個人個人違うわけだが、万引きや飲酒運転、いじめ、ネット犯罪すべてそうだろう。
中学校の部活時に先生が出張に出かけたのを見計らって遊んでいたら、実は出かけてなくて(だまされた・・・)こっぴどく叱られたことや、ついつい仕事をさぼってしまうということも同じことだ。
ある知人に「透明人間になったら、何する?」と聞いたら「見たくもないものを見てしまいそうで怖い」と言っていた。
人間は、誰かに見られていることで働く「抑止力」が少なからずある。

では、話を医療に戻そう。「見られているときと見られてない時」で行う医療が違う。これでは困る。
たとえば、ホーソン効果の抑止力が働く昼間の手洗いせっけんの消費率と夜間の消費率(消費量ではない)、この率に差があるのであれば、ホーソン効果によって手洗いが徹底されていないことを意味する。
このデータを突き付けられた時、「手洗いを徹底するように」と周知徹底することは、マネジメントではない。
その理由を説明する必要がある。その理由を私は、「感染を起こすから」だと思っていたが、その前に「手洗いをしない理由」をスタッフが知る必要があったと気がついた。

私は、この「ホーソン効果」を知った時に人間の弱さを知った。そして、自分だけではないという安心感も持つことができた。
大事なことは、人間には、このような心理的な特徴があるということを知り、「意識」してホーソン効果を打ち消していかなければならない。
「見られている」という意識ができなければ「見られているかもしれない」でもいいと思う。もともと難しいことではない。
「できるのにやらない」のがホーソン効果だから。