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「足病変とフットケア」

【フットケア領域】    新古賀病院    石橋理津子さん
足病変とフットケア 創傷治療センター(通称:足外来)看護師長

褥瘡認定看護師
日本フットケア学会フットケア認定指導士
日本静脈学会認定弾性ストッキング・コンダクター
フットケアに使用する道具一覧
Vol.6  2010年5月 「足の病気」
足の病気とは?と尋ねられ思い浮かぶ病気は何でしょう。
足が痛い→歩きすぎ?捻挫?関節痛?神経痛?などなど思い浮かぶと思います。
まず、足が痛いときに病院へいきますか?
「少し足が痛いなあ?どうしたんだろう?まあ、すぐ治るだろう」と、見過ごす方がほとんどでしょう。実は、その足の痛みの中に、大きな病気が隠れていることがあることをご存知ですか?

足が痛くなる原因としては、毎月のエッセイの中でご説明してきました。
胼胝・鶏眼・巻き爪・陥入爪・外反母趾etc・・・これらは主に原因がある局所の痛みです。
しかし局所ではなく、「歩くと足がだるくて痛い、しびれる」といった足全体の痛みを生じる疾患があります。その1つとして整形外科疾患の「腰部脊柱管狭窄症」という疾患があります。これは、何らかの原因によって腰の脊柱間が狭くなり、脊柱間の中を走っている神経が圧迫されることによって生じる痛みです。
この疾患の特徴として、しばらく歩くとだんだん足がしびれ重く感じたり、痛みが出現し歩行が困難となります。しかし、しばらく休むと痛みが治まりまた歩くことが可能となります。このような症状を「間欠性跛行」といいます。
同じように「歩くと足がだるくて痛い、しびれる」といった足全体の痛みを生じる疾患が整形外科疾患とは全く異なる疾患でもみられます。この疾患も同じように「間欠性跛行」を生じます。その疾患とは循環器疾患で「下肢閉塞性動脈硬化症」という疾患です。
近年、巷でブームを巻き起こしている「足病変・フットケア」とは、この下肢閉塞性動脈硬化症を主に対象としたものなのです。
この閉塞性動脈硬化症のことを、日本では通称ASO(Arteric sderosisi Obliterans)と呼び循環器関連の治療が必要となります。海外ではPAD(Peripheral Anterial Disease:末梢動脈疾患)と呼ばれており、近年国内でもPADで呼ばれることが多くなってきました。
これは疾患名の通り動脈硬化により足の動脈に狭窄または閉塞を生じ、足の血の流れが悪くなっていることによって痛みを生じる疾患です。血の流れ=血流ですが、この血流を悪いままにしておくと、長距離の歩行が困難となった→安静にしていても足が痛い、夜も痛くて眠れない→傷が自然と出来て直らない→指が黒くなってきた、激痛がある、と症状はどんどん進んでいきます。

このように同じ症状でも、原因が全く異なることがあるのです。
ここで問題となるのが、では足が痛いとき何科に受診しますか?ということです。
あなたなら、何科を受診しますか?それとも、たかが足だとほっておきますか?
脊柱間狭窄症と下肢閉塞性動脈硬化症(PAD)の見分け方
原因が違う疾患ですから、もちろん見分け方があります。
その見分け方とは、脊柱間狭窄症の場合、脊椎を通っている神経が圧迫され痛みが生じます。従って前かがみになって歩くことによって痛みは解消されます。
坂道などでは痛みが生じないということになります。しかし閉塞性動脈硬化症の場合は、血管自体が原因のため、歩くことで痛みが出てきます。このように、自分でも見分ける事が出来ます。まずは、たかが足、とほっておかずに、病院を受診することが大切ですね。

現在、医療界でもこの閉塞性動脈硬化症(PAD)は「足病変」として大変注目されています。学会もいくつか立ち上がり、様々な診療科の医師・看護師・義士装具士によって救肢活動が行われています。今までは膝下や大腿部分から切断されていたような病変でも、かかとを残す切断が可能となってきました。かかとが残ることによって部分切断したとしてもまた、自分の足で歩くことが可能となるのです。この「自分の足で歩く」ということが非常に重要であり、また、予後にも大きく関与してきます。

次回はこの閉塞性動脈硬化症:PADについて詳しくお話ししていきましょう。