<学会・イベント訪問記>
大阪府済生会千里病院 第2回院内メディカルラリー |
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訪問日 2008年3月9日 | ||||||||
【院内メディカルラリー】
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担当スタッフの看護師 甲斐沼靖大さんから院内メディカルラリー開催の話を伺い、取材させていただきました。メディカルラリーというのは、災害医療などで一定のシナリオ(ビルの崩壊や自然災害など)を元に、数名のグループが適切な医療を行えたかどうかを点数化して競い、医療の質をあげることを目的としたものです。救命センターとしては歴史のある済生会千里病院 千里救命救急センターは、 院外メディカルラリーを通じて日本の救命医療のレベルアップに大きく貢献してきており、その経験を生かしての開催で今回で2回目を迎える。とはいっても、写真を見ていただければわかるが、決して硬くなくまじめに楽しくやっていた。見ていて楽しい。でも考えさせられるイベントでした。 | ||||||||
【開会の挨拶と参加チーム紹介】 取材に伺い、本気で会場を間違えたかと思いました(^^) |
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開会の挨拶をする林亨(はやしとおる)病院長 スタッフや参加者は勤務扱いと異例の理解を示す。 また、大事なことではあるけど堅苦しくしたくないとのことでこれまた異例の「コスプレ賞」をつくり、アットホームな雰囲気で救急救命処置のレベル向上を目指す。こういった環境を病院として整備するのは大変だと思います。病院のTOPの理解があると物事、進んでいきますね。本質をつかんだすばらしい試みだと思います。 |
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え~と、ここは病院ですよね・・・? 白衣の集団の中にガチャピンが・・・ 最初は、なぜコスプレしているのかまったく理解できませんでしたが、遊び心を大切にしているんですね。実際、皆さん表情がすごくリラックスしていました。確かにここは、命の現場です。でも、緊張していたら本来の力も出せない。非常によいアイデアだと思いました。企画力もすごい! |
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【シナリオの実際】
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ステーション1 院内発生のCPA | ||||||||
患者さんからナースコールが鳴るも返答なし、急いで病室に駆けつけると患者さんはすでに呼びかけにこたえられないといった状況設定での対処法を競う。正確なBLS(一次心肺蘇生法)の知識と院内における決まりごと(医師の呼び方など)の知識・技術が要求され、医師が到着した後はACLS(二次心肺蘇生法)に移行する。ただ、これだけでは終わらない。呼ばれて来た医師は、来るには来たが救命には自信がなく、挿管はしてくれたものの「僕何もわかんないんだよねぇ」と衝撃の告白! 間違えた指示を出したりするので、間違った指示に対してきちんと「その指示でいいのですか?」と再確認するところも評価の対象となる。 多くのチームがその「罠」にかかっていたが、医師だって間違えることは当然ある。「おかしい?」と思ったら、確認することも看護師の重要なスキルだ。完璧な対処を見せていただきました。 | ||||||||
ステーション2 自己抜管に対する対処法 | ||||||||
あってはならないことですが、決して少なくないのが自己抜管。患者さんを信用した挙句に抜かれるとがっかりしますが、呼吸状態が不安定となり時には命の危険すらある。そんな状況において適切な対処方法を競うのがこのステーションである。患者役は迫真の演技で暴れる。それを抑えつつ、気道を確保し、医師を呼び再挿管まで持ってくることが目標となる。設定時間は夜間であり、病院によっては呼ぶ医師も変ってくる。優先順位も考えなければいけない。 思いもよらない設定に多くのメンバーが戸惑っていましたが、徐々に現状を理解し行動できるあたりはさすがですね。 | ||||||||
ステーション3 始めてのリハビリに伴う呼吸困難 | ||||||||
さて、待ちに待ったリハビリ開始の日。術後の経過は順調!さあ、歩きましょう・・・あれれ?なんか患者さんが変だぞ?と思っているうちに倒れこんでしまう設定。ヒントが少なくどうしたらいいのか迷ってしまうかなり難しい設定だ。しかし、患者さんの様態は時間の経過とともに悪くなっていく。何とかしなければならない。あせる看護師・・・。まるでドラマのようにストーリーが流れて行きました。実際に十分考えられる設定で「自分ならどうしよう」とあせりながら思わず見入ってしまいました。患者役は、看護部長の石井美津子氏、迫真の演技に主演女優賞を送ります。 | ||||||||
スペシャルステーション | ||||||||
急変対応や院内の決まりごとなどの知識を問う筆記試験と、後輩に対する指導力を問うのがスペシャルステージだ。今回は、バックバルブマスクの構造や使用方法の注意点について新人に対してプレゼンテーションするというものであり、正確な知識と指導力が試される。決して簡単でないと思います。このラリーのレベルの高さを感じました。最後には、コアメンバーのひとりである甲斐沼靖大さんによるステーションの解説で幕を閉じました。準備も片付けも大変だったと思いますがこの努力はきっと報われるでしょう。 | ||||||||
【表彰式】
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栄えある第2回院内メディカルラリー・・・ 第1位は、チームチャズ!! 第2位は、千里ボンバーズ 第3位は、Booze でした。 優勝チームには、優勝杯が送られます。これってかなりうれしいですよね。う~ん、この病院は動機付けが上手だなぁ・・・。なにより、スタッフを含めて参加者全員が楽しんでいるのが印象的でした。今回、入賞を逃した皆さん、来年は優勝だぁ! そして、コスプレ賞! 院長も思わずうっとり、命助けてゴーゴーゴーチームでした。 |
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【イベント中の写真】
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【病院写真紹介】
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病床数 医療法承認病床数 343床(一般病床300床/うち開放病床10床、救急病棟31床、ICU12床) 標榜診療科 (1)診療科目 内科、心療内科、神経内科、小児科、外科、整形外科、眼科、皮膚科、泌尿器科、 産科、婦人科、放射線科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、歯科、 歯科・口腔外科、麻酔科、救命救急センター (2)専門・特殊外来 内科:消化器科外来、糖尿病、代謝外来、循環器外来 呼吸器外来 外科:乳腺外来、肝臓・胆のう・膵臓外来、大腸肛門外来 胃・食道外来 小児科:乳児健診、予防接種 |
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チェコで開催されているメディカルラリーを日本で始めて行ったのがここ「千里救命センター」。日本の救急救命に刺激を与え続けている。 | ||||||||
【編集後記】
看護師の病院における守備範囲は非常に広く、どこから勉強するかは議論の余地がある。ただし、誰もが反対意見のないであろう技術がある。それは急変対応である。急変対応だけはしっかりと技術を学んでおかねば文字通り取り返しのつかないことになる。どの施設も様々な工夫をしているが、済生会千里病院の試みは面白いのではないだろうか?まだまだ目新しい院内メディカルラリー、全国に普及することを望みます。
あおやぎ
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