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<病院訪問記>  面白い取り組みを行っている病院を紹介させていただいております。

仁生会 細木病院
訪問日  2008年1月18日
【所在地】〒780-8535 高知県高知市大善町37
【病床数】320床 (一般病床184床  療養病棟136床)
【理事長】細木 秀美
【院長 】山本 博司
【高知城の西に位置する仁生会 細木病院】

市内にあるため立体駐車場ならびに南館は道路を挟んでというロケーションであるが、急性期疾患か慢性期疾患、回復期リハビリテーション、緩和ケアと地域住民にとって無くてはならない病院で、幅広く社会に貢献している。 高知県は特に高齢化が進んでおり、細木病院の試みは日本全国の多くの施設の参考になるのではないかと感じる。 理事長の熱い想いが詰まった細木病院をご覧ください。
【広くてきれいな総合受付前と内科外来前】
多くの患者さんがいましたがあまり混雑した感じは受けませんでした。 職員の皆様も笑顔で対応されていました。
【専門外来】
細木病院は、専門外来に力を入れている。 特に小児科医が「こころの外来」として登校拒否、自閉症やアスペルガー、統合失調症などを診療しており、夜の9時ごろまで明かりがついていることも珍しくないとのことでじっくり話を聞いてくれると評判だそうです。 最近は、若年の患者さんが多く、その親の話もじっくり聞いてくれるそうです。 写真左はこちらの外来にかよう患者さん製作の作品でプロ顔負けの絵がずらり。
病棟の点滴は、ひとつの部屋で看護師が薬剤師と共に指示内容を確認し一括でつくっている。 忙しいところをちょっとお邪魔してパチリ。
各病棟には、スタッフが顔写真入で紹介されています。 こちらの病棟は、グループで看護・介護に当たっており、顔の見える関係が築けている。 患者さんはもとより、家族からの評判がよく気軽に相談に乗れる環境になっている。
看護部の松澤富子さん(左)と渡辺恵美子さん(右)

看護師の教育に非常に力を入れていると松沢さんは話す勉強会は充実しており、看護師がやる気さえあれば病院は、理解を示し応援してくれる環境になるという。 現在は、がん専門看 護師が2名と糖尿病指導療養士、呼吸療法士らが活躍しておる。 今後は、摂食嚥下障害、訪問、認知症の分野での認定看護師が育っていくことを期待されているそうです。 確かに、守備範囲の広い病院なので多くのやる気のある人材が必要ですね。 また、健診にも力を入れていきたくとおっしゃっており、指導のできる看護師も育って欲しいと期待を寄せる。
更なる充実のために看護師も募集しているとのことなので興味があれば下記まで連絡してみてください。

細木病院 看護部  松澤
TEL 088-822-7211 FAX 088-825-0909
E-mail : hosogi-h@nifty.com

【禁煙外来】

取材日は、禁煙外来は行っていなかったが、診察のためのスペースとカウンセリングを行うスペースがある。 今後、患者さんへの禁煙支援をさらに積極的に行って生きたいと北川隆夫医師(写真左)

医療従事者の喫煙は種々の問題があり、細木病院も例に漏れず苦労されているようではあるが、北川隆夫医師を中心に喫煙対策委員会を設置し今後の対応を検討している。 今回私は、北川先生に声をかけていただき、「看護師のための禁煙支援の基礎知識」と題して講演をさせていただいた。 理解あるメンバーもたくさんおられる。近い将来、よい報告が届くだろう。
【病児保育室 キューピットハウス】
【壷中有天】
理事長である細木秀美氏は、父親である先代から受け継ぎ「患者様には何がベストなのか?」をモットーに高知県の地域医療を担ってきた。30年の医療経営を綴った「壷中有天」という本を発刊されありがたくいただきました。この30年で医療環境は大きく変わりました。しかし、変わらないもの、変わってはいけないものもたくさんあります。それら医療人としての心構えを大事にしているというのが、上記の写真から感じ取れますよね。やはり、病院の品格は、管理者で決まるな・・・と感じました。
【病院写真紹介】
取材が午前中であったこともあり、ナースステーションには、あまりスタッフは見られなかったが現場では活発に動き回っていた。 病棟全体が非常に広く、そして色に気を使い明るく、観葉植物などもふんだんに配置し、きれいな空間の演出ができている。

高齢者の多いフロアは、集まって食事をすることが多いそうで、以前は部屋で食べていたがスタッフの努力により食事の時がより楽しい時間になったという。
【南館 緩和ケア ポピー病棟】
明るくきれいな緩和ケア病棟と療養病棟がある南館

ポピーの花言葉は、「七色の愛」「なぐさめ」で、その名のとおり、患者さん一人ひとりの大切な時間や空間をまもれるような環境が提供されている。

この病院のすごさは、「がん専門看護師」がなんと2名もいる。 病院の理解そして、がん専門看護師がここで働きたい思える環境があるということですね。

←面談室には、ポピーがひっそりと。
【細木ユニティ病院】
院長   高坂 要一郎
診療科  精神科・精神科・心療内科・内科
病床数  243床(36床・精神207床)

「風通しのよい、敷居の低い病院を目指して」

精神科には、確かに偏見はある。これは残念ながら事実であると高坂氏は認識し、自閉的な精神科の治療環境を改善することをコンセプトに多くを一般に開放し、いろいろな人が出入りできる施設を作っている。 ドイツ留学経験からドイツの方がコンサートを開いてくれることもあり、市民も参加することができるそうですよ。
外来には、大きな観葉植物が置かれとても落ち着いた雰囲気で出迎えられた。 健康に関する資料が多く、飲料水やカップ焼きそばなどが(700Kcal以上!)思った以上にカロリーがあることを啓蒙するディスプレイや掲示板が展示されている。 また、NST(栄養サポートチーム)稼動施設でもあり積極的な活動が行われている。 誰でも使えるパソコンがあり、患者さんの情報収集にも一役買っている。

病院をよくするためにアンケートを行い、それに基づいて療養環境をつくっているそうです。 明るく楽しい病院ですよ。
中屋 公子看護師

今回、取材をするにあたり病院を紹介してくださいました。中屋さんは、在宅部長であり病院と市民をつなぐ役割もになっておられます。 職員が生き生きと働く環境と同時に勉強することのできる環境のユニティ病院を余すところ無く紹介してくださいました。特に感動したのが「職員心得」です。
1. 人権を尊重しアメニティの整備につとめる
2. 働き甲斐のある職場環境をつくる
3. 「不勉強落第」の心構えで創意工夫する
4. 社会に開かれた精神病院を作り、社会復帰を促進する
5. コミュニケーションを大切にする

医療従事者としての心構えとして勉強になりますね。

こちらは、利用者の皆さんが作ったもので、機織や三味線なども作ってしまうそうです!
【勉強こそ・・・】

なんと、研修生用にゲストルームがあるんですよね。 部屋は明るくてきれいだし、広いしベットに冷蔵庫、パソコン2台、でっかいテレビ、お風呂とホテル顔負けです。 医療や看護のほかアメニティなど学ぶことの多い施設です。宿泊での研修はいかがですか?

で、こちらは職員用の学習専用の部屋で図書は充実しており、写真の2倍以上あります。また、この部屋に来る途中に職員のためのコーヒー、紅茶など無料の飲み物が置いてある。仕事で疲れても「ちょっと調べて帰るか~」って思える雰囲気です。管理者の「気持ち」が伝わってきますね。
【屋上風景】

屋上も広く、利用者の皆様が作ったオブジェや壁画がたくあんありました。ゆっくりと時間を楽しむような設計で屋上の園芸も本格的です。
写真右上は、「滝」です。こちらも利用者さん製作というからまだ驚きました。金魚なども泳いでいます。そして圧巻は、高知城。 高知城のあたりは、第二次世界大戦の戦火から逃れているそうです。(文化財により)お城は、時代を超えて町の人を守っているのですね・・・。
【編集後記】
今回は、禁煙支援に情熱を注ぐ内科の北川隆夫医師の紹介で訪問させていただきました。高知県は、高齢化が特に進んでいるとのことで高齢者医療が進歩していると印象を受けました。医師不足、看護師不足はどこの病院でも抱えている問題ですが、「明るく、そして妥協せずにいい病院を作ろう」という力強さを感じましたね。1000人を超える職員がグループ全体で働いているそうです。急速に進む高齢化社会、確かに大変な部分が大きいとは思いますが今の細木病院グループの取り組みが近い将来、日本全体のモデルになることでしょう・・・。
あおやぎ