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<病院訪問記>  面白い取り組みを行っている病院を紹介させていただいております。

北原脳神経外科病院
訪問日  2007年11月19日
【所在地】東京都八王子市大和田町1-7-23
【病床数】110床 (ICU8床  HCU10床)
【理事長】北原 茂実
【院長 】久保 俊朗
東京都八王子市に位置する脳神経外科専門病院 北原脳神経外科病院に取材に行ってまいりました。北原脳神経外科病院は、「救急車は一切断らない」をモットーに年間2500台の救急車を受け入れ、地域医療に貢献しております。この病院には、「患者さんのために」は当然、「職員のために」と北原脳神経外科病院に関わる全ての人が幸せになれるシステムが随所にちりばめられ、取材して感動すら覚えました。開設者である理事長 北原茂実氏の器の大きさを感じます。塵ひとつ落ちていない一流ホテルのような病院、客室乗務員のような職員の対応、そしてまだまだ発展する可能性を秘めている北原脳神経外科病院グループをぜひご覧ください。
緑に囲まれた病院エクステリア

命に直結する脳神経疾患を扱う病院とはとても思えない落ち着いた雰囲気でした。 単純に命を救うのが使命だった時代はとうに過ぎ去ったことを感じます。闘病生活は、確かにつらいでしょう。 であるならせめて快適な空間で過ごしたいですよね。

「ホテル?会社?結婚式場?」

これらの写真を見て病院と答えられる人がどれだけいるだろうか?患者さんをおもてなしする準備ができている。 一人ひとりを大事にする気持ちがこういった形で現れるのだろう。 病院の本質は、医療であるが、そのためには患者さんも医療スタッフも気分よく病院に来ることができる環境が欲しい。 今後は、こういった病院が増えてくるのだろう。アメニティでも、北原脳神経外科病院は一歩抜きん出ている。
こちらがICU
ICUは、8床で同じフロアに10床のHCUがある。緊急入院や緊急手術は毎日のように行われており、忙しそうだ。 それもそのはず、八王子を中心に地域の皆様の健康の維持を一心に背負っているのだから。 地域住民の期待答えるべく、多くの医療スタッフが頑張っていた。


ハイテクです。
ICUなので当然、面会制限はある。しかし、安心して欲しい。控え室の窓がスイッチひとつで透明になるのだ。 インターフォンもついているので会話も可能。急な入院が多く、重篤な場合も少なくない。 家族や患者さんへの配慮が随所で感じられる。いま、医療に求められているのは「透明性」。 なんと手術室の窓すら透明になる。医療技術の自信が、患者さんの信頼につながる。
<<誰?>>

看護師は、白衣を着ているのでわかるのですが他のコメディカルの皆さんは白衣ではありません。 そのため、なれないと「誰?」と思ってしまうのですが、患者さんからすると親近感を覚えるとか。 看護師さん曰く、「慣れれば服装で職種がわかるのでいいですよ。」と。
<<安全管理>>

ボランティアさん?かと思ったら、面会の方だそうです。 ネームカードは、「面会が許可された証」つまり、誰でも病棟内に入れるわけではなく、家族間で決めたパスワードで管理されます。 病院には、不特定多数の人間が出入りします。凶悪事件も最近では聞かれますし、盗難などの被害も決して少なくありません。 患者さんは当然、職員も安心して働くことができますね。
<<理学療法室>>

非常に広い。実は、これは半分、この奥にさらにリハビリスペースが広がっています。 理学療法士、作業療法士、言語療法士合わせて40名以上いるそうです。力の入れ方が違いますね。
<<作業療法室>>

十分なスペースの作業療法室。急性期医療だけでなくリハビリにも力を入れている。 脳神経外科の専門病院として全てをまかなうことができ、スタッフは一貫した医療を提供することができる。

屋上ガーデニング 患者さんの気分転換はもちろん、簡単なリハビリもできるようになっています。 晴れた日には、富士山も眺めることができるとか!至れり尽くせりですね。

職員のための休憩室
ゆったりとくつろげるそうです。この部屋のほかにもうひとつ大広間があり、そこではホームシアターも楽しめる。 当直室も医師の分以外にコメディカルスタッフの分も確保されていました。
【家族ボランティアシステム】
「よりよい医療をより安く」がモットーの北原脳神経外科病院の精神は、家族のボランティアシステムにも現れている。 ポイント制のボランティアに参加することで室料差額が免除されるのだ。 ただし、真の目的は料金ではない。 家族が病院に来て自分ができること、例えば、掃除でもいいし、患者さんとのお話、植木の剪定や水やりなどなんでもいい。 病院に関わることで患者さんをひとりにしない、一緒に病気に立ち向かうんだという気持ちがわいてきて、 結果的にそれがよい方向へと向かうという。この精神はすばらしいと思った。 また、家族が病院内に入ることで「第三者の目」が入ることになる。 これは、病院の透明性を訴える意味でも意義のあることだ。 多数のボランティアを受け入れることはかなりの労力を必要とするらしい。 でも、頑張って続けていただきたいと思いました。この試み、全国に広まるといいですね。
【教育システム・合同研修】
全ての職種が全ての部署をまわる北原脳神経外科病院の合同研修。 今回は、理学療法士、医療事務、メディカルソーシャルワーカーの方が、病棟看護師の準夜勤務を体験する日だった。 緊張する面持ちで申し送りを聞く3人、慣れない仕事である程度のストレスはあるだろう。 しかし、この他職種の理解がセクショナリズムを打ち破ることにつながり、結果的にスムースな医療の連携を完成させる。 これは、医師であっても例外ではない。北原の連携のよさの源流を見た気がする。
<<合同研修を終えた方のインタビュー>>
薬剤師  近藤則彦さん
今までは、研究一筋でやってきた。留学などの経験もあるが薬剤師以外の仕事に関わるのははじめてて、 他の職種から見た薬剤師の役割にも気づくことができ、今後の業務にいかせる学びがたくさんあった。 看護師や放射線科の当直は予想以上に大変だったし、医事課の書類の山には驚いた。 他の職業の視点でいろいろ経験できたのは貴重だったと振り返る。

医事科  門 奈津美さん
病院の業務の流れがわかり、医事課だけでは経験できないたくさんの学びがあった。 病院全体の流れがわかり、自分にもできることがたくさんあることもわかった。 看護師の当直が特に大変だったとのこと。

理学療法士 笠原稔也さん
いつもは、リハビリ室にいるので外来や検査、そして夜勤はイメージすることができなかった。 リハビリと他の部門が綿密につながっていることを肌で感じ、自分が入力ミスなどをすると多くの人に迷惑をかけてしまうことがわかった。 他職種では、特に看護師さんの夜勤が大変でした。
【人事考課システム】
「やる気のある人には勉強できる環境としっかりとした報酬」がこの病院では約束されています。 給与は、年功序列ではなく個人個人の能力を考慮した「人事考課」を採用している。 ランク1~6とそれ以上のSO(Scale out)志の高い人がおのずと集まってくる給与体系がここにはあります。 ランクは、上司や理事長との面談で決められます。頑張っただけ認められるなら、誰だって頑張りますよね。
【看護科長の悩み】
病院独自の教育システムのおかげで看護師は、どんどん成長しあっという間に病院にとってなくてはならない戦力となるようです。 ただ、それで自信をもって「ほかを見たい」と飛び出していく看護師も少なくないとか・・・。 「中堅クラスが他の病院に行ってしまうのは悲しいです」と。 辞めて初めて北原脳神経外科病院のよさに気がついて帰ってきてくれる看護師も少なくないようですが、平均年齢は20代だそうです。 他の病院の悩みとは少し違ってますね。
【病院写真紹介】
病院独自非常にきれいな病院です。最新機器とともにご紹介しますね。




取材の半年前にリニューアルオープンしたばかりとのことで、きれいなのは当然ですが、患者さんにはもちろん、職員のためにもしっかりと設備を整えているのが印象的でした。 職員が満足な状態で働けなければいい医療が提供できるわけがない。それはそうですね。 夜勤の際は、夕食も朝食も出るらしいですよ!
【編集後記】
「妥協なく常に前を向いている」そう感じた取材でした。 個人病院にありがちなワンマンさは、全くなく職員が様々な提案をすることができ、それを実践できる環境があります。 理事長の理念をお聞きして「低医は病を治し、中医は人を治し、高医は国を治す」という言葉を思い出しました。 家族のボランティアシステムや合同研修などは、かなり特徴ある取り組みだと思います。 これらが職員からでたアイデアといいますから驚きですよね。 教育システムがしっかりしていて頑張れば頑張っただけ評価してくれる。 職員のためのアメニティもしっかりしていて皆さん、笑顔で働いていたのがとても印象的でした。 入院するならこんな病院、就職するならこんな病院と本気で思いました。 聞くところによると今後は、循環器にも力を入れていくとか・・・。更なる発展にいやでも期待してしまいます。
あおやぎ