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「高齢者の精神障害」

【精神障害領域】    大阪勉強会サークル 精神看護 臨床心理を学ぶ会 代表 石井穂さん
石井穂さん 大阪勉強会サークル 精神看護 臨床心理を学ぶ会
Vol.3  2010年9月 暴力を振るう認知症患者さんの体験を通して…
高齢者の精神障害といえば一番に想いたつのは「認知症」ではないでしょうか。精神科以外の病院や施設・在宅にもこういった精神障害は見受けられる機会がおおいでしょう。
私自身が認知症の対応で最も困ったケースは「暴力」がある当事者さんのケアでした。
今回は暴力を振るう認知症患者さんの体験を記載してみたいと思います。
暴力とはそういった混乱から自分の身を守るためであるものとして仮説をたて「自分らしさ」を保証する観点を中心に…
①何かケアに入るとき、少し離れた位置で現状の説明をしてからケアにはいる。②機嫌が悪くケアなど拒否された時は1分間だけ席をはずして再度部屋に訪れ、看護行為に協力してもらえるよう説明する。③こちらが理解しがたい言動があったとしても、肯定的態度で接する。否定的な言動は言わない。④2人でケアに入る。(多くても3人まで)
 と…方法論を看護計画に組み込み対応するようにしました。
すると、暴力はなくなることはありませんが、ケアに入れない回数や暴力の頻度が極端に減りました。また、不機嫌な反応に対しても否定的な態度をとらないことで暴力へ移行することも少なったのです。この体験を通して、精神機能の特性と個人に与える影響を洞察していく大切さ。当事者の安心と安全の保証、記憶障害をおこしていても「その人らしさ」を保証することが重要であることが体験できたと想います。