carenet




<看護師~ひと~>  インタビュー&お仕事紹介

誠潤会城北病院

看護師, 血管診療技師, 心臓リハビリテーション指導士,抗加齢指導士, 診療情報管理士
青柳 幸江さん
訪問日  平成21年3月27日
【本人紹介】
取得資格を見てわかるようにマルチな才能を発揮する。 学会等での症例報告も非常に多く、青柳さんの口演を聞いたことのある人は少なくないだろう。これだけ活躍するためには、誰かにやらされただけでは到底できない。「自分が関わることで患者さんが少しでも良くなるように」という」気持ちが必要だ。
今回は、青柳さんが管理する誠潤会城北病院の心臓リハビリテーションセンターにお邪魔してきた。包括的リハビリテーションという言葉が徐々に認知され、心臓病治療は、薬や手術といった治療からまた一歩進んだ。心臓を血管を守る看護師の活躍する姿をぜひ見ていただきたい。
【トレッドミル】
スポーツジムなどで見かける機種と基本的には変わらない。 患者さんに合わせ歩く速度を変えたり、傾斜をつけ、負荷をかける。 大きく違うのは、患者さんに心臓もしくは血管に異常を抱えているということと、それを見守る専任のスタッフがいるということだ。 なぜ、運動をするかといえと、適度な心肺負荷により、心肺機能の向上と血管新生を促す。
そう、心臓血管のリハビリテーションは、「予防」という側面と「治療」という側面を持っている。


【記録】
運動前後、そして運動中の患者さんの状態を把握し、症状とともに記録に残し、医師と情報を共有、今後のプログラムに生かす。 継時的にみると徐々に心肺機能の改善がみられることに驚く。 一見しただけでは効果判定は難しく、患者さんもその効果を自覚するには時間がかかる。 しかし、数字は確実に改善し、そのことが患者さんの自信につながる。


【包括的リハビリテーション】
心臓リハビリテーションというのは、「プログラムに準じて運動する」ことだけではない。 当然、運動は必須だが、運動だけでは到底解決できないという。 青柳さんは、持前の笑顔で患者さんと談笑し、信頼関係を得ている。 この信頼関係があるからこそ、患者さんは指導に耳を傾け、日常生活を見直そうとする。 日常生活の改善が一番難しいとのことだが、少なくても「改善の必要性は皆わかってくれた」という。


【笑顔で治療】
院内に白い運動靴を持ってこの部屋にやってくる患者さんと何人かにすれ違った。 話を聞いてみると「最初は、何の事かわからなかった。 でも、やってみると今までは、ほとんどしなかった運動をきちんと教えてくれるのでこの日が楽しみなんです」と、男性も女性も笑顔で話す。
確かに「治療」というと少なからず、痛みや不安そして時には羞恥心も伴う。 それらかが、患さんから「笑顔」を消しているのだろう。
「すべての治療で笑顔を」というスローガンはあり得ない。 しかし、少なくとも「楽しみな治療」を提供できる部署があることは素晴らしい病院環境でと感じる。


【フィードバック】
青柳さんは、生粋のスピーカーであることを紹介したが、患者さんからいただいたデーターをきちんと公表し、フィードバックしている。 学会などで使用したスライドであるため、学術的ですべての患者さんが理解して読めるとは思わない。 しかし、こうした行動がまた、信頼関係を生むのだろう。 患者さんは、誰だって目の前の医療従事者が日本一の医療従事者である、何でも知っていると信じて病院に来てくれているわけですからね。
«青柳さんにインタビュー»
q
どんな看護にやりがいを感じますか?
a
難しい質問ですね。今でもやりがいというのを探し続けていますが、患者さんと一緒に目標に向かうことが出来たとき、感じるものが多くあります。
q
勤務中に心がけていることはありますか?
a
「笑顔」です。患者さんに対しても職員に対しても笑顔で接するようにしています。
q
病院や病棟が心臓リハビリテーション指導士である青柳さんに対する期待や理解度についてお聞かせください。
a
期待はされていないかもしれませんが、私の立場についての理解は充分してもらっています。心リハの施設基準を取るために私は病棟の看護基準から外れています。看護師不足にも関わらず、基準から外して心リハをやらせてもらえることに感謝しています。
q
たくさんの資格を取得されておりますが、そのモチベーションはどこから来るのですか?
a
はじめはイヤイヤでしたが、どれも業務上必要なものであったので勉強しました。特別モチベーションが高かったということではありません。必要なことを教えてくれればそれで良いのですが、やっぱり勉強してどの程度の実力がついたのか試したいですからね。取得した資格は結構現場で生かすことが出来ているので満足です。
q
看護師としての目標は?
a
①限界を決めず、自分ができることはやる。
②新しいことに挑戦する。
③患者さんに信頼されるよう努力する。
q
10年後の自分は?
a
専業主婦をしていたいですが、その時の私を必要としてくれる場所があればそこで一生懸命働きたいと思います。
q
青柳さんを目指している後輩も多いと思います。メッセージをお願いいたします。
a
たくさんのことに挑戦してもらいたいし、経験して欲しいと思います。何事も経験です。
【患者さんに合わせたプログラムを提供】
ここは、小さなスポーツジムですね。運動が必要と医師に言われても実際、 どうしていいか分からずとりあえず歩くことしかできないのが今の日本の現状です。 確かに歩くことも一定の効果はあるでしょう。しかし、雨の日は、歩けなかったり、その効果判定も難しいと言えるでしょう。 病院側がこういった施設を提供してくれるということは、ありがたいことですね。


【急変対応】
患者さんは、心臓や血管に異常を抱えているわけですから急変することも十分に考えられます。 当然、急変しないように管理するわけですが、絶対に起こらないとは言い切れない。 急変を想定し、十分な準備をしておく。このことが心臓リハビリテーションの運営には絶対に必要ですね。


茨城県水戸市の北に位置する城北病院。心臓カテーテル検査、治療、そして血管の手術、リハビリテーションを得意とする。 心臓血管系の患者さんを中心に救急車の受け入れ台数は、年間1000台を超えることもあり、また老人保健施設も充実。 地域の中核病院としてその存在感を示す。


学会発表や講演会における口演も少なくなく、おそらく「しゃべり」を本職としていない臨床看護師としては日本トップクラスだろう。 落ち着いてはきはきと話し、スライドの作りこみもわかりやすいと医師や看護師からの評価は高い。 青柳さんの場合は、専門知識は当然、臨床看護師として必要な周辺知識、たとえば保険点数の解釈などの知識も持っている。 この辺が、方々で呼ばれる秘密でしょうね。
【編集後記】
年齢は、内緒にしておきますがよくこの若さでここまで成長したと感心します。青柳さんを目指して全員が頑張っても、青柳さんにはなれないかもしれません。しかし、スタートラインは同じ看護師です。私には無理と思わず、自分の才能を信じて多くの看護師に頑張ってほしいと思います。城北病院は決して大きな病院ではありません。医療設備やマンパワーの面では決して恵まれているとは言えません。それでも信念をもって仕事をすれば、これだけの才能が生まれてくるんですね。看護師の持つ潜在的な力を感じさせられました。
(あおやぎ→同じ名字ですが特に関係はありません^^)