<学会・イベント訪問記>
第15回茨城県糖尿病療養指導士研修会 |
訪問日 2009年2月15日 |
【はじめに】
|
東京医科大学霞ヶ浦病院 医療福祉センター他目的ホールにて第15回糖尿病療養指導士研修会が開催された。約80名の参加者がおり、教育講演や演題発表に耳を傾け、日ごろの看護の疑問を質疑応答を通じて熱心に意見交換されていた。 |
【特別講演】 「糖尿病とうつ病~身も心も~」 茨城県立医療大学付属病院 精神科医 山川 百合子氏 |
病気の見方は、救急も糖尿病も精神科も基本的には同じで、「からだ」「こころ」「社会的側面」を見ていく必要があり、糖尿病の場合は、血糖や尿糖といった内分泌系の異常とストレス、そして社会機能の制限に着目すべきと具体的なアドバイスがあった。事実、抑うつ度をチェックすると一般の方が15%に対して糖尿病の患者さんは、40%以上がうつの傾向を示し、合併症が多くなるほどその数値が上がるという。そのため、傾聴と共感的理解を忘れず、相手の気持ちを受け入れ、否認しないようなさりげないアプローチ、そして持続的な対応が必要であると話された。患者さんに理解していただくことが治療成績を大きく左右する。そして、患者さんが抑うつ状態にあるのであれば、我々は療養指導を行う上でカウンセリングなども学ぶ必要があると気づかされた。実際の症例での悩まれていることの質疑もあり参加者は有意義な時間を過ごすことができたようです。 |
【一般演題】
|
1、「当院の血糖自己測定患者の実態-活用についての考察-」 那珂記念クリニック 看護師 小野陽子氏 2、「高齢者糖尿病患者におけるインスリン自己注射の問題点」 東京医科大学霞ヶ浦病院 薬剤師 松本晃一氏 3、「内科病院勤務看護師における糖尿病治療に関する知識の深達度と問題点」 西山堂病院 看護師 冨山ヤエ子氏 4、「血糖自己測定器使用患者の行動変容へのアプローチ 血糖自己測定結果表の見方の指導を通して」 小沢眼科内科病院 看護師 長洲孝子氏 5、「当院外来におけるインスリン自己注射の導入~問題点と今後の支援方法を考える~」 みなみ赤塚クリニック 看護師 海老原奈穂氏 6、「当院における療養相談外来の評価と今後の展望」 土浦協同病院 看護師 内田みさ子氏 |
【編集後記】
予備軍を含めると2000万人とも3000万人ともいわれる糖尿病。初期は症状がないために軽視しがちだが多種多様の合併症が出現する。高齢化社会を迎えるにあたり、患者さんも医療従事者も頭を悩ます。しかし、幸いなことに自己コントロールをきちんとすれば十分合併症を抑えられる、もしくはその発症を遅らせることができる。生活習慣病の代表のようなこの疾患を抑え込むにはどうすればいいのか?休日であるにもかかわらず日ごろの成果を発表し、活発に質疑応答を行い、互いに成長する姿が見られた。糖尿病は怖いが、こういった専門職の方々は心強い。やりがいもあるのだろう。次から次へと新患さんがやってくるであろう糖尿病外来、そして教育入院、「またか・・・」と思わず、「私に任せろ」と頑張っていただきたい。
あおやぎ
|