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<病院訪問記>  面白い取り組みを行っている病院を紹介させていただいております。

京都第一赤十字病院
訪問日  2007年8月31日
【所在地】京都府京都市東山区本町 15-749
歴史ある街「京都」 京都府の人口は約260万人、そして京都市の人口は約140万人。 つまり、京都府の人口の半分以上は京都市に住んでいることになる。 修学旅行で行ったことがある人もたくさんいることと思いますが、今回は三十三間堂に程近い場所に位置する京都第一赤十字病院の健診センターを訪問して来ました。

精悍なたたずまいの病院エクステリア。ここが京都であることを忘れさせる。
正面玄関にある大きな「敷地内禁煙」の垂れ幕。
禁止を表すNGマークは、普通丸に斜線であるが、京都第一赤十字病院は、ハートマークを採用している。
喫煙を強制的に禁止するのではなく、あくまでも「健康のために、あなたのために」というメッセージすら感じる。
時間外に伺ったために検診センターの利用者はいませんでしたが、清潔感のある待合室で、一日50人以上を受け入れる玄関口でもあります。
高度に発達した健診システム その①

健診は、基本的に年に2回プログラムされていると言う。 その長年のデータが蓄積され、項目ごとにグラフ化される。 つまり、自分の検査結果を「可視化」してよくなっているのが、悪くなっているのかがわかる。 確かに数字だけを見せられてもなかなかぴんとこない。 例えば、肝機能が徐々に悪化しているのをグラフにして見せられればそのままには出来ないだろう。 利用者の健康の維持・増進を明確な目的としている21世紀の健診と言える。
高度に発達した健診システム その②

カルテ記載は、時間がかかる。カルテを書く暇があればその時間を患者さんに使いたいと言う医師は少なくない。 特に健診は「指導」の部分が少なくなくカルテ記載を少しでも簡略化するために作られたのが「カルテ記載コード」で、京都第一日赤で考案されたコード数百種類を患者さんに当てはめる。 例えば、「喫煙しているが止める気が無い」と言う患者さんには、十分に口頭で説明し、カルテには「107」とコードナンバーを押す。 すると、カルテ記載ともに利用者さんにあわせた健康情報を提供することが出来る。 ちなみに107は、「煙草無関心;タバコはあなたを確実に酸欠にし、歯肉や肺の組織を破壊し、しかも止めるにやめれない恐ろしい商品です。 ぜひここでタバコからの脱出を考えてください。 私たちはあなたの卒煙を応援しています」と打ち出されます。 人は、加齢に伴い様々な疾患に罹患し、身体機能が低下します。 少しでも多くの人を少しでも健康に導く。 京都の熱意がこの膨大なコードに集約されています。
本来は、レントゲンフィルムを見るためのシャーカステンですが、健康情報を記載したリーフレットがあふれています。 「放射線科の先生に怒られそう」と笑う繁田医師ですが、やはり一般人の健康に対する情報は、あまりにも遮断されている背景があり、「わかりやすく」説明するには欠かせないアイテムだ。 一人ひとりの病気も背景も違う。結果的にこうなってしまうと・・・。
上記のシャーカステンについていたリーフレットで特に目を引く「Maverの亭主を早死にさせる10個条」

なんか目に浮かぶようですが、単純に健康になる10個条と書くよりとんちが聞いていて面白いですね。これをメモに取られる奥様もいるとか?
卒煙カレンダー

禁煙できたら、一日ひとつ丸をつぶしていく。禁煙を継続するコツも要所要所に書いてあり、励ましてくれる。 行動科学でも、一日一日の目標をクリアしたことを実感することが翌日につながると言うことがあるようです。 禁煙は、ニコチン依存との戦いですので自分自身に勝つという意味で科学的に意味のあるカレンダーであると言えます。 幼稚園児のシールにも似ていますが、利用者にはかなり好評だそうです。 監修はもと京都第一赤十字病院 健診部長の繁田正子医師、文責は同健診センター 山門 桂 看護師
カロリーと砂糖、油 その①

「この食品は○○キロカロリーです。」と言われてもピンとこない。 そのため、結果的にカロリー制限が出来なかったり、「これくらいいいか」と思ってしまう。 そこで、考え出されたのがこちらのオブジェ。 お酒やおつまみ、お菓子などにカロリーを表示すると共に、ステックシュガーとスピッツに入った油がついている。
数字で見るより驚く。
カロリーと砂糖、油 その②

こちらは、お菓子編
うすうすわかってはいましたが、チョコレートや揚げたお菓子って高カロリーですね・・・。気をつけねば・・・。
カロリーと砂糖、油 その②

時間外に健診センターを紹介していただけた繁田正子医師(写真左)と、早崎央恵医師(写真左)

マ○ボロのタバコのパッケージをもじった「Borlboro」、そしてそこから出てくるタバコには、タバコ病が所狭しと書いてある。 「タバコの害」興味を持ってもらうことが第一と繁田医師。「え、こんな病気もタバコと関係があるのですか!!」と効果抜群。
京都第一赤十字病院は、病院をあげて禁煙を推進している感じがある。 そのひとつが、「至る所」に敷地内禁煙を訴える張り紙があることだ。 しつこいくらいに敷地内禁煙であることをアピールする。 そのことが、敷地内禁煙を継続するコツだと繁田医師。 当然、病院の中でタバコの臭いを感じることは無かったし、敷地内である駐車場などにも吸殻は落ちていなかった。 絶え間ぬ努力の賜物であったことを感じた。
【編集後記】
病院で勤務していても健診センターは、なじみの薄い場所である。 医療は、救急から始まりその長い歴史が「予防医学・健康管理」の大切さ、重要性を教えてくれ、その恩恵を私たちは受けることが出来る。 医療が進歩しているのと同時に「健康管理も進歩している」というのが今回の訪問で一番感じたことでした。 コンピューターの発達と医学の進歩は今後もとどまるところを知らず発展していくのでしょう。 まずは、私たち「人間」が変わらなくてはいけません。 「私は大丈夫」と思っていても年に2回の健康診断が年輪のように「記録」に残り、きっと「警告」を教えてくれますよ。
あおやぎ